なぜランジェリーフィッターの資格を取ったのか
私はランジェリーフィッターの資格を持っています。
もともと私は、市販のブラジャーで自分にぴったりのものに出会ったことがありませんでした。
いつもワイヤーのどこかが当たっていたい、着けていると窮屈で苦しい、肩が凝る、そんなものだと思っていましたが、Rue de Ryuというランジェリーショップに出会って概念が覆されました。
ここでは、アンダーとトップを測る方式ではなく、身体に触れて、胸の形や肋骨の形から、ぴったりのものを探してくれるというものでした。
そこから、全く着けていても苦しくない上に、肩こりも改善されたり、背中のお肉が減って、結果的にアンダーとトップの差が大きくなって、カップが上がりました。
その秘密は後ほど書きます。
なぜその資格を取ったのかというと、このお仕事をして、クライアント様にぴったりのお洋服を選んでも、ブラジャーが合っていないせいで、洋服のシルエットが崩れる方がとても多いと感じたからです。
最初はお勧めのブラジャーとしてRue de Ryuをご紹介するだけでしたが、これは私が知識を身に着けて直接アドバイスできるようにした方が、もっとトータルでクライアント様に、役立つアドバイスができるのでは?と思い、Rue de Ryuのカリスマフィッターのオーナーから直接指導を受けました。
- 胸が異様に大きく見えて目立つ
- 胸が大きいせいで太って見える
- 胸のボリュームがなさすぎてデコルテが貧相に見える
- 胸とウエストの差がなく寸胴に見える
こんなお悩みがある方は、ブラジャーが合っていない可能性があります。
下着は、女性らしさを自覚させてくれる美しいアイテムでもありますが、実は健康や美容に重要な役割を果たしてくれる、実用的なアイテムなので、きちんと合うものを身に付ける必要があります。
私の師匠は、ブラジャーを「健康器具」と言っていました(笑)
本来のブラジャーの役割とは?
垂れないように支える役割
最近は、ブラジャーが苦しいからとカップ付きキャミソールで済ませたり、ワイヤーがないものを好む方も多いですね。
しかし、それは今のラクさと引き換えに、将来的に自分の胸の形を犠牲にしています。
胸は大胸筋の上に乳腺と脂肪が付いています。
結構重さがあり、重力で常に引っ張られている状態なので、支えるものがないとどんどん垂れます。
つまり、カップつきキャミソールやワイヤーがないものでは、胸を支えることができないのです。
しっかりサポートしてあげないと、将来的にはどんどん垂れます。
クーパー靭帯と言われるものは、乳腺と筋肉や肌の皮膚をつないでいますが、クーパー靭帯は重力でどんどん伸びますし、激しい運動や刺激で切れることもあります。
そして伸びたり切れたりしたクーパー靭帯は二度と元に戻りません。
将来、垂れない美しいラインの胸でいたいなら、ブラジャーで支えることは必須です。
お胸に脂肪がほとんどなく、垂れるボリュームがない方のみ、カップ付きキャミソールでも良いかもしれませんが、少しでも膨らみがある方でしたら、垂れるリスクはあります。
きちんと胸を包むことができる
なお、きちんと胸を包むことができるブラジャーは、バージスラインと言われる胸の輪郭にぴったり沿っていて、脇まできちんとカバーできるものです。
バージスラインに合わず、ワイヤーが胸の輪郭に当たっていたり、胸の真ん中のワイヤーの支点が食い込んだり、脇肉がはみ出ているものは、サイズが合っていません。
「脇肉ははみ出て当たり前」ではないのです。
脇肉はみ出ているフィッティングをしたら、師匠からめちゃ怒られるし、卒業試験に即落ちるくらい、これは、サイズがきちんと合っているかどうかに関わるものすごーく大事なポイントです(笑)
姿勢を正す役割
正しいブラジャーを適切に着けていると、きちんと身体を起こしてくれるので、正しく背中の筋肉が使えるようになります。
筋肉は、身体の全ての筋肉と連動しているため、背中の筋肉が正しく使えると腹筋も使いやすくなるし、肩や首の筋肉の負担が減るので、肩こりや腰痛の負担軽減にもつながります。
また、背中の筋肉が正しく使えないと、猫背になったり、背中にお肉がつきやすくなります。
つまり、正しいブラジャーは、身につけているだけで日常が筋トレしている状態と同じになります。
だから、余分なお肉がなくなって、美しい背中のラインが手に入りますし、結果的にアンダーサイズが下がるので、より胸の脂肪との差が出て、カップが上がることもあります。
身体のシルエットを美しくする
ブラジャーは、バストトップを上げ、そして胸を中心に集めるので、脇がすっきりして、胸とウエストの差をはっきりさせてくれるため、女性らしいくびれのあるラインを作ってくれます。
正しいブラだとバストトップの位置も体の横のラインも変わります。
上記の写真の赤のラインは正しいブラのバストトップのライン。
青のラインは、フィッティング前のお手持ちのブラのバストトップのラインです。
また、アンダーの部分もかなりほっそりしていますよね。
Tシャツにシワが寄るのはカップに分厚いパッドが入っていて入りきれていない胸も含め胸周辺のボリュームに布が引っ張られるから。
太って見えるとお悩みの大胸さんはブラが原因なことも多々あります。
深い呼吸ができる
正しい位置にブラジャーを着けていると、肋骨の動きを阻害せず、呼吸が深くなるので、筋肉もより大きく動かせます。
しかし、ほとんどの市販のブラジャーは、肋骨をぎゅうぎゅうに締め付けているので苦しく、そして身体も動かしにくいのです。
苦しく不愉快なブラジャーは、身体に合っていない可能性が大きいです。
あるブランドはぎゅうぎゅうに締め付けるフィッティングを推奨していますが、ここのブラを着けている方のお体を拝見すると、呼吸がしにくいため、少ない酸素をたくさん取り込もうとして肋骨が開き、肩の筋肉が張って肩が緊張して肩が上がっていることが多いですね。
鎖骨が上に上がってきている人もいます。
ブラを変えていただくと、数ヶ月も経てば、肋骨は元の大きさに戻り、肩の張りがなくなり、鎖骨の位置も正しい位置に戻っています。
バストアップに対する誤解
バストアップ、気になる方多いですよね。
しかし、世間で流行っているものが正しいとは限りません。
解剖学できちんとした医学的根拠がないものは多いです。
これを信じたくない方は、解剖を専門にしている医師免許を持っている先生(”解剖学に詳しい自称専門家”ではなく)に聞いてみて下さい。
ちなみに私は学ぶ時に、解剖を専門にしている医師免許を持っている先生の系列で勉強しました。
マッサージで胸は大きくならない
リンパを流すためのマッサージならよいのですが、胸のサイズを大きくするマッサージは全く意味がありません。
脂肪も乳腺もマッサージで大きくはなりません。
それどころか、マッサージの強い力でクーパー靭帯が切れるリスクがあります。
一瞬大きくなったように見えたとしたら、それはやりすぎて胸が腫れているのです。
大胸筋を鍛えても大きくならない
大胸筋を鍛えてバストアップ、というのも意味がありません。
大胸筋は相当鍛えれば(でもボディビルダー並にやる必要あります)筋肉自体は大きくなりますが、それは胸の膨らみを大きくすることとは違います。
女性ボディビルダーの方の胸、男性の胸のようになっていて、ふっくらはしていないと思います。
筋肉を使えば使うほど、脂肪は減るし、つきにくくなります。
つまり、女性らしいふっくらバストを手に入れるには向いていません。
ただし、大胸筋を鍛えることで(ボディビルダーまでやるとまた話は別ですが、日常的な範囲では)、多少、胸が持ち上がって見えることはあります。
背中の脂肪は移動しない
これは、私が習った場所でも、他の下着専門店などでも、便宜上「背中のお肉を移動させる」と言ったりするのですが、業界的な一種の用語になっている気がします。
誤解を生む発言になっていることは反省すべき点だと思い、私は一切この言葉を使うのをやめました。
脂肪は移動しません。
でも、細胞間質にある水分は移動します。
ブラジャーを着ける際は、脂肪を移動させているのではなく、単に周辺の胸を仕切りの中に収めているから、集まって大きくなったように見えます。
胸を物理的に大きくするなら、太って脂肪をつけるしかありませんが、他の部分にも脂肪がつきます。
正しいブラジャーを身に着けてしばらくすると、胸が大きくなったように見えるのは、正確には、背中のお肉が胸に移動してきたからではなく、むくみが改善したり、背中の筋肉を使うことにより、背中がスッキリして、胸とアンダーバストの差が出て大きくなったように「見える」だけです。
脂肪が移動すると思って、皮膚を無理に引っ張るくせが出てしまうと、皮膚がたるんだり、クーパー靭帯が切れるリスクがあるので、無理にやるのはやめましょう。
ここまで読んで大きさが変わらないことにショックな方もいらっしゃるかもしれませんが、大きさよりも、美しい形であることが大事だし、美しい形は日々のブラジャーで手に入ります!!
ナイトブラは普通の人には意味がない
ナイトブラ、流行っていますよね〜。
でも、普通の人にはあまり意味はないと思います。
これ、なぜ流行ったのかは、商売的な意味があったのだと思うけど、これはここでは割愛しますね。
ナイトブラは仰向け状態で微動だにしない状態が1日の大半なら胸が横に流れやすいのでやる意味があります。
つまり、寝返りできない入院で長期寝たきりになる際は、やった方がいいかもしれません。
あとは、かなり大きなお胸の方で、仰向けの状態で胸が首を圧迫してきたり、寝返りの際に胸の重みでむしろ動きにくくなる方も、ナイトブラで固定しておくのは意味があると思います。
しかし、普通は多少なりとも寝返りで動くので、逆に筋肉の動きを阻害しないためにしない方がいいです。
こうやって動いていれば、脂肪が一方向に引っ張られることはありません。
むしろ重力で常に下に引っ張られている状態が長い昼間に、きちんと支える方が超重要です。
昼はキャミブラで、夜はナイトブラ、という方は、気をつけるべきことが逆です。
あるクライアント様のご感想
私がランジェリーアドバイスもさせていただいているクライアント様(40代)のフィッティングを1年ぶりに行ったところ、姿勢がまっすぐになり、背中のお肉が減っていて、僧帽筋の張りがなくなり、首から肩のラインがスッキリされていました。
ちなみに僧帽筋は肩の筋肉で、ここが張ると肩こりになったり、首が物理的に短く見えます。
ちょくちょく「ブラを変えて体がすごくラク」というメッセージ頂いていたのですが、ここまで身体が変わっているとは、感動でした。
ご感想をいただいているのでご紹介いたします。
慢性的に肩甲骨辺りの痛みや呼吸が浅いことが劇的に改善されました。
以前は痛み(苦しみ?)のため、さらに呼吸が浅くなるという悪循環に。「こんなものだろう」という日常の痛みや辛さから、今は解放されて、快適です。
以前は姿勢が崩れていたのですが、(気力でごまかせない年齢だな、と実感いたします)それもしっかり選んでいただいたブラジャーをつけるだけで改善されていると感じます。
巻き肩や鎖骨などの今の身体の状態も、フィッティングの時に、教えていただき、改善点がわかり有り難いのです。
1枚だけ以前から持っていたブラジャーを残していましたが、結局使わず。
選んでいただいたブラは、胸の包まれ感や、位置が格別に付け心地が違います。
そしてデザインですが、私のサイズでホールドしてもらえるのを探すと、ザ・おばさん感満載で、萎えます。
それがまた、細かい所もさりげなく凝った素敵な色とデザインなのです。いつも後から美鈴先生おすすめのもの全部買っておけば良かった、と後悔するのですが、予算などに合わせて調整してくださるのも有り難いです。
メイクから、下着から、洋服まで美鈴先生がいらして、本当に心強いです。
正しいブラジャーを身に付けるだけで、身体はかなり変わりますし、お洋服も素敵に着こなせるようになりますよ。
ちなみに、合うブラジャーを見つけるコツは、「お直し可能なこと」です。
売っている状態で完璧に合わないのなら、細かい部分はお直しして身体にぴったりに修正します。
直しながら使えるので、数年は使えます。
(買った方は最低でも半年に1回はメンテナンスでチェックしに来てくださいね!)
ですから、どんなブラジャーでもよい訳ではありません。
ショップは指定となりますが、今までとは格段に違う体験ができると思います。
この記事により、皆様がブラジャーの大切さを改めて感じていただけるとうれしく思います!